青弓社様の新刊単行本です。
「戦争孤児」がどのように戦後社会を生き抜いてきたのかを、
インタビュー調査から明らかにした研究書になります。
内容は親戚宅での過酷な対応、教育のアクセスしづらさ、
就職の困難などの語りが中心でノンフィクション的な側面も多くある本。
以下、本の内容紹介より引用、
第2次世界大戦で親を失った戦災孤児・戦争孤児は、
戦後70年にあたる2015年まで多くを語らず、
「沈黙の半世紀」「沈黙の70年」を生きてきた。
彼・彼女たちはなぜ沈黙してきたのか。これまでの人生で何を経験してきたのか。
なぜいま、自らの足跡を語れるようになったのか。
これまで沈黙してきた戦争孤児の当事者たちにロングインタビューをおこない、
浮浪生活、自殺を考えるほどの親戚宅での冷酷な処遇、
教育にアクセスできない困難、就職の難しさ、
家族をつくることの願いと拒否感など、
これまで歩んだ生活実態を明らかにする。
戦争孤児が自らを語り、
社会的な承認を求める契機になった東京大空襲集団訴訟などについての思いも聞き書きして、
「戦争で親を失った子どもたち」が、
抱え続けてきたスティグマとどう向き合い、
自らの来歴をどのように語るのかを検証する。
ここまで。
装丁に関して、
本の内容も個人的にたいへん興味深いのですが、
それにも増して、これはもう表1に配している写真の力(チカラ)。
そのインパクトで決まったように思います。
(写真提供:共同通信社)
写真タイトルは、
・たむろする浮浪児と遠巻きに見る少女ら 昭和21年8月、東京駅
モノクロ写真に写る看板、ローマ字書体、鉄筋むき出しの駅構造、
やせ細った裸足(!)の少年たちの横顔(うち一人はタバコをふかしてる!?)佇まい、
少年たちと、それを眺める少女たちとの距離感、
編集様よりご提供いただいた写真から時代背景、当時の状況を推し量ることができます。
今回は白地を活かして写真メインに考えた装丁です。
(ですので紙はエンボス表情のある紙を選択)
文字色こそ若干調整しましたが、あとはそのままデザイン採用いただきました。
↓表紙の紙銘柄は新バフン紙 N
↓カバー紙のエンボス+モノクロ写真+グロスPP加工
紙資材について、
・カバー:パターンズ F エグシェル+グロスPP加工。
・表紙:新バフン紙 N。これは本の内容からイメージリンクさせた銘柄です。
藁のような繊維が入った素朴な和風紙。ココぞ^^という時に
指定させていただいてるお気に入り紙の一つになります。
・見返し:NTラシャ にびいろ。
青弓社様のツイートを拝見すると反応が好感触のため、
発売後、反響の声を多く得られるのではないでしょうか。
この本がたくさんの方の手に渡る事を願っております!
11.25頃発売予定
装丁担当