【思い出の装丁_76】でございます。
 
秋も深まっております。ということで
今回は亜紀(アキ)書房様の装丁の紹介です。
編集者・K様との仕事。
 

禅が教える「考えない」作法
昨日を悔やむな、明日を思いわずらうな

2010年 亜紀書房刊

 

四六判、224頁
脳科学者であり浜松医科大学名誉教授でいらした
高田明和先生の著書です。
 
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我々の脳は休みなく働き、つねに何かを考え、思い出している。
それらは大抵心に引っかかるマイナスのことばかり。
考えることを止めれば、“いまここ”に集中でき、過去を悔やまず、
明日を思いわずらうこともなくなる。
そのためには、座禅とプラスの言葉を口にするのがいい。

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亜紀書房様との装丁仕事_1
亜紀書房様との装丁仕事_2
亜紀書房様との装丁仕事_3
 

本書は、14年前の本ですが
「禅」テーマ、またはそこからヒントを得た本の刊行は
現在でも多いのではないでしょうか。
コロナ禍を経て円安、物価高な生活など、
メンタルに影響するような事象が続くため
あらためて禅の教えが我々に必要な時期なのかもしれません。
 

装丁に関して、
全体的には色味含めてソフトなイメージで。
清涼感のある空気のなかに書名がスッと立つような意図です。
 
装画は自作ですが、
その理由としては時間的余裕がなかった点が大きいですね。
イラストレーターに依頼→ラフ→仕上げまで考えると
ある程度の時間が必要ですが、
装丁の仕事は時間がたっぷりある案件ばかりではなく。
そのうえ刊行時期はFixされていることも少なくありません。
しかし装画が欲しい。そこで葛藤が出てくるのですが….
 

「アラっ、私たちの仕事をとっちゃって〜^^」と冗談混じりに
イラストレーターに言われたこともあるのですが、
そういう背景もあるんですネ。
 
 
↓カバー見開きで考えた構成。大地と人

 
見開き装画の装丁仕事
 

また、装画自作の仕事としては、こちらもありました。
 
 
落ちこぼれ損保マンの保険金不払い日記
2007年 ダイヤモンド社刊

 
四六判、206頁。編集者・T様との仕事です。
 
 
こちらもT様との仕事
 

 
 
ダイヤモンド社様との仕事_1
ダイヤモンド社様との仕事_2
ダイヤモンド社様との仕事_3
 
 
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請求なければ払わない、知らないヤツには教えない、これが損保の常識だ!
 損保による保険金の不払い事件が続出し、大手6社だけで26万件、162億円の
不払いがあったと言われているが、まだ全貌が明らかになったわけではない。
自動車保険の人身傷害特約分などについては現在調査中であり、これが明らかに
なれば、不払いの規模はさらに大きくなるはず。
 大手損保の損害調査部門で十数年間働いてきたベテラン調査マンが、保険会社
の不払い体質とその原因を、インサイダーの視点で暴露した!
 護送船団方式で守れてきた業界、代理店制度による歪んだ体質、現場を無視し
た商品開発、保険料が継続して入ることからおきる顧客の軽視など、今回の
不払い事件を生んだ損保の体質を現場の視点で赤裸々につづる。
 あまり知られていない損害保険会社とそれを取り巻く人々の実態は……。
読み始めたら止まらない、抱腹絶倒の世界。

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装画自作の仕事_1
装画自作の仕事_2
装画自作の仕事_3
 
 
本の内容は損害保険会社をテーマにしたストーリーなのですが、
落ちこぼれ損保マンと書名にあるようにシリアス方向ではなく
「あっ、なんか面白そうな本だな〜」と思わせる方向性で。
写真ですと硬いイメージになるケース、
また文字装ですと少し味気ない。
ドタバタ顛末記として見せたい。
やはりイラストの力が欲しいというデザインでした。
 
 
禅が教える〜
カバー・帯:OKプラスター7C グロスニス引き、表紙:アラベール
見返し:タント、別丁扉:新バフン紙

落ちこぼれ〜
カバー・帯:OKミューズガリバーエクストラ グロスニス引き
表紙・見返し:タント

 
2冊とも装丁・装画担当