【思い出の装丁_28】でございます。
続けたいので….続けます^^
今回の本は、
哀しみが思い出に変わるとき 女どうし、友情の物語 2012年 柏書房刊
四六判、上製、232頁、
翻訳読み物を多く手掛けられていた編集者Yさんとのお仕事です。
こちらも氏との仕事
以下、あらすじを。
ボストンの新聞記者であるゲールと、小説家のキャロライン。
ふたりの女性は、飼っていた犬を通じて知り合った。
年は十歳離れていたが、出会ってすぐに意気投合し、
話を聞くうちにお互いの境遇がよく似ていることを知る。
今は独身で、ひとり暮らしということ。仕事と社会の中で抱えている疎外感。
過去にアルコール中毒に悩んだこと。そして、何より読書と犬が好きなことも含めて……。
ボストン郊外の美しい川べりを散歩しながら、ふたりは友情を深めていく。
そんな中、キャロラインがガンに侵されていることがわかる。
最後の最後まで互いを認め合いながら生きるふたり。
結婚しないという選択、社会に参加しているという感覚について、
アルコールとの関わり、ペットの重要性。
現代、自宅の外で仕事をしている人なら一度は経験したであろう思い。
それをふとしたきっかけから共有して、乗り越えていく。
仕事の関係はすべて脱ぎ捨て、日常を大切に生きた二人の女性の友情の記録。
という内容です。
憧れのイラストレーターとの仕事_1
憧れのイラストレーターとの仕事_2
イラストレーション絡みの装丁。
御依頼時に付き物のお話をした際、
ビジュアルには装画が良いのでは!ということになり、
しばし考えた後、ポッと朝倉めぐみさんが浮かびました。
以前よりファンで
いつかお仕事お願いしたいとチャンスを窺っていたのでした。
軽やかなペンタッチに鮮やかな色彩、
迷いなく自由なドローイング、
描かれる世界は洋風な香りが漂い洒脱。
という画風。
この本の空気感を描けるのは
朝倉さんしかいない。
ドンピシャじゃないかと!
編集様に強く推薦し
スケジュール確保など(売れっ子なので)交渉していただき
お仕事ご快諾頂けたのでした。
↓装画、表紙、扉、目次用イラスト
この装画を観ただけで
ストーリーの中に入り込んでしまう…そんな
素晴らしいイラストレーションを仕上げてくださりました。
デザインの方は、装画が繊細な表現で勝負している絵なので
その良さを壊さないように活かすように
タイトルフォント等も細いけどフォルムが強い書体を選択。
書名は新聞明朝体を使ってます。
フォントが太ければ目立つ。
一理ありますが、
そればかりではない存在感。
というのがあるんじゃないかなと思ってます。
憧れのイラストレーターとの仕事_3
憧れのイラストレーターとの仕事_4
↓洋服、犬の彩色(コラージュ)センスの塊!
紙資材は、カバー・帯:ヴァンヌーボF-FSにグロスニス引き、
表紙:ジフ(クロス紙)、見返し:エコラシャ、別丁扉:あらじま
この時のように、
以前からファンだったイラストレーターさんとお仕事させていただく機会、
これはもう装丁家として至福の時であります。
才能の塊のような方達のお仕事に触れ
エネルギーをいただき勝手に栄養にさせていただいている次第です。
実にやり甲斐のある仕事なのです。