【思い出の装丁_20】です。
夏のキャンペーン(?)という事で
連投しまくります。今回は

 

窓辺の疑惑 PHP研究所刊 2007年
というミステリー小説です。
四六判、上製、244頁。

 

あらすじは、

 

看護師の母と2人で暮らす少年・ザカリは、
アパートメントに住む隣人の飛び降り自殺を目撃してしまう。
おりしも、町では美人ばかりを狙った連続殺人事件が起きていた。
犯人は、いまだに捕まっていない―。

亡くなった隣人の部屋にひとりの男が引っ越してくる。
夜になると男はバイクでどこかに出かけているようだ。
新しい隣人に関心を持ったザカリは、ある日、男をつけてみると、
向かいのアパートメントの屋上からボクたちを覗いていた!?
そして、3人目の犠牲者が出た―。

歪んだ愛情がもたらす衝撃の結末。驚きのあとに、まだ驚きが用意されていようとは―。
緻密に組み立てられたストーリーで、フランス・ミステリー界を震撼させた話題作。

 

という内容となっております。

 

ボク自身、CSのミステリーチャンネルや
この分野の洋画も好きで普段から観賞しています。
登場人物になりきり感情移入してしまうそんな自分もいます。

ゲラを読みながら、どのような本の顔にしていくのか、
物語に入り込みデザインの糸口を探っていく….
装丁の仕事は、その本のあり方を象徴化する作業
とも言えるかもしれませんね。

 

製作上では、
カバーに使用しているこの写真に決めるまで
かなり時間を割いた記憶があります。
この一部屋(窓)にポッと明かりが付いていて
意識を集中させるような状況写真が
なかなか見つからなかったのです。
(プラス全体の雰囲気)

その点には拘りました。

自分の検索時間が長かった割に、
編集様に有り難くもサクッとOKいただいたその落差も憶えております^^

 

タイトル書体の方は、明朝体がキレッキレになるようフォルム調整。
漢字書体はヒラギノ明朝、かな書体は秀英3号(好きです)

漢字・かなのデフォルトの組み合わせというのはあるのですが、
ケースにより意図的にそれを変える時もアリ。

 

↓表紙:極細のケイ線、シンプルな装い….緊張感。
紙はビオトープGA*当時(好きです..)

↓扉:登場人物たちの葛藤、渦巻く感情を反映。
紙はアトモス(好きです….)、これだけで雰囲気が出てしまいます。

上記以外の紙資材は、
カバー:ヴァンヌーボV*当時、帯:OKミューズガリバーリラ、
見返し:ビオトープGA*当時
になります。

 

装丁仕事を続けている理由の一つに
様々な本の分野を多様なデザインスタイルで製作できる点が挙げられます。
これが20代の頃、非常に魅力的に感じ、
自らの性質に合っているなァと思ったのです。

一定のデザインスタイルで仕事をする、拘るという方向性も
もちろん理解でき大変リスペクト致しますが
一方で自分はそれが窮屈に感じてしまうタイプなので、
この思いはいまだに変わりません。

現在、まさに様々な分野本のお仕事をさせていただき本望^^
少しづつ思いが結実してきて大変嬉しく思います。

今後も精進して参ります。