《このブログ記事は、自分の他ブログから一部内容を変えて転載しています。》
今回はフォント話です。
現在は、フリーフォントも素晴らしいクオリティのものが
多く目を見張りますね。英語のアルファベットは数が少ないので、
まだ理解できますが、日本語でも仮名文字だけでなく、
漢字を含むようなフォントも数多く、
その製作手間を考えたら驚きを隠せないです。
開発者の皆さん、スゲーです!
ボク自身は、一応ですが…..プロのはしくれなので、
フォント会社のモリサワやフォントワークスなどのパスポート。
年間使用料を支払って使うフォントを
インストールしデザインしております。
それは当然、クオリティが素晴らしいからです。
やっぱりお金を払ってるだけの意味はありますよ!
それにちゃんと購入してるとデザイン根性に肚が座るというか、
その本気度がちゃんとした仕事に巡り会うというか…..。
精神論をぶちかましてますが*^-^*
そんなところはあるんじゃないかって感じてます。
で、いまのようなコンピュータでデザインする前は
アナログで…..版下台紙に写植をボンドで貼り、
トレーシングペーパーをのせて(かけて)赤ペンで色指定。
写真・イラストを使用する場合はコピーを版下に貼っておいて
その素材を一緒に印刷所へ渡す。
これがデザイン(版下)作業というものでした。
写植というのは写真植字の略で、
写真植字(しゃしんしょくじ)は、写真植字機を用いて文字などを印画紙や
フィルムに印字して、写真製版用の版下などを作ること。
また長らくテレビ放送用のテロップ用の版下としても使われた。
活版印刷においては多くのサイズの活字が必要であったが、
写真植字では1個の文字ネガで足りる。
オフセット印刷の普及とともに、写真植字も急速に需要を拡大した。
写真植字のメリットとして、文字のネガをレンズで拡大または変形して
印画紙に焼き付けるので、独特の柔らか味があり、
DTPが普及した昨今でも、タイトル文字などに限って
写真植字を指定して使うケースが見られる。
文字の大きさの単位をQ(または級)、
文字の送り量の単位をH(または歯)とする。
いずれも0.25mmを1とする。
すなわち24Qといえば6mmの大きさの文字を意味する。
wikiより一部引用。
というものです。
⇂⇂⇂このような注文紙をFAXで業者に送るんです。(FAXも最近使わんよ…^ ^;)
写植見本帳というものがあり、それを購入し、
例えば本のタイトルなどは大きめサイズ(Q数)で文字をツメて。
のような指定で業者にオーダーし、印画紙が届く。
そういう「物」のやり取りをしていました。
文字ツメ(カーニング)も先方オペレーターの判断なので、
自分でちょっとでも気に入らないwwと、
1文字づつ切り離して好みのツメ具合に調整してたんです。
これらの作業が現在はすべ〜て画面上でできちゃうわけです。
写植のオーダー、物のやりとりは必要なく、イラレなどの
アプリケーション画面にすぐ現れます。
浮かんだイメージを画面でポン!と見える化できちゃうんです。
めちゃくちゃ時短だし便利です!!
当時(移行期)は、もうコペルニクス的転回だったんです^ ^
んで、そのフォントなんですが…..
文字(フォント)自体のクオリティ。
ていうのが、やはりありまして、
すごく種類はあるんだけど実際使う書体っていうのは
やっぱり限られてきます。それはキレイな文字….と言ってますが。
1文字だけでも文章として組んでもやはりキレイに見えるものです。
この「キレイ」
っていうのが、抽象的なんですが、
デザインをかじってたカミさんに聞くと、
「イマイチわからない。」って言うんで結構主観的な好みも
あるのかな〜なんて思ったりしてます。
写植使用時代、ボクがキレイだな〜と思っていた文字(明朝体)は
この2つです。
・秀英明朝(SHM)
・新聞特太明朝(YSEM)
書籍タイトルや帯の大文字にも数多く使ってました。
縦に組んでも横に組んでも文字の組み合わせが非常に
キレイに見えるし、サイズの大小も問わず、
長体・平体・斜体をかけてもイケます^ ^
組んでもキレイというのは、特に仮名文字は、
1文字の正方形に対して文字を配した際、
余白スペースが美しいんだと思います。
ので組み合わせてもバランスのとれた形になるんではないでしょうか。
現在は、この書体に似たデジタルフォントが出ているので、
めちゃくちゃ嬉しいのですが、それがリリースされるまでは、
もうとにかく待ち望んでいた書体でした!!
で…..個人的な持論ですと、今リリースされてるデジタルフォントについて
そのキレイさは最初に「の」の字を見ます。
それを見るとだいたい他文字のクオリティが分かるように感じます。
これは、誰に言われたわけでもなく、
デザインしながら写植を扱ってた若い頃感じたことなのですが、
「の」の字を見るとそのフォントの特徴がよく出てるなあと….。
比較しやすかったんですね!
上画像見ても分かるように「の」だけでも形はいろいろあります。
それをデジフォントを使いだした頃、友人に言ったら、
「ああっ、それオレも感じてた!」って同意を得たんで、
よかった〜。なんて自分の感覚になんだかホッとしてました。
きっと、「の」は使われる頻度も高く、
1画数なのでシンプル。
クオリティがもろ見えるせいもあるんでしょうね。
たかが「の」の字。いやフォント。
されどフォント。
いやFONT様、様!!
ボクの生業はフォントなしては語れません。
考えてみたら四半世紀ほど仕事で文字に関わってるんです。
そしてこれからも共に歩んでいくはずです。
写植で始まったそのお付き合い。
それは完全デジタルに移行した現在もまったく変わらないわけです。
そして日本語の形、美しさもいつまでも変わらず!
なんですね。
嗚呼、日本人に生まれてよかった〜〜!
ではでは、今日はこの辺で。