ボクの生業になっている装丁の仕事
その出発点は美大時代、
自費出版社でのデザインアルバイトからでした。

 

もともとイラストレーターで身を立てたかったので、
最初は…..デザイン科だし現場に触れつつお金をもらえたらラッキー!
のような軽い気持ちでした^ ^

 

自費出版というのは、
基本的には著者が製作費を出すので
ご本人が納得すればベスト!という世界ではあります。

 

当時、紙資材は数種類選べたのですが、一般的な4C印刷(プロセス4c)
とは違い、特色(DIC)というインキ2色を選び印刷。
その限られた条件のなかでいかに工夫して見栄えの良いものが出来るか。
著者の要望にあった….またはそれ以上のものが製作できないか。
と常に考えておりました。

 

⇂⇂⇂これが特色(DIC)の色チップ。この数ある色の中から選択、色指定する。

 

限定された条件のもとで。というのが
とても良いデザイン修行になったと思います。

デザインの面白さに徐々にではありますが、
目覚めていったことは確かです。

 

ボクのなかでは、
イラスト:職人的。自分独自の表現、世界観を追求する。
デザイン:専門職ではあるけれど様々なイメージを作り上げる事が可能。
と同じクリエイター業でも方向性が少し違うように感じました。

 

そのような事を感じつつ、
20代後半では、その表現の幅・自由さがある魅力にとりつかれ(* ̄∇ ̄*)
30歳頃にはほぼデザイン業のみに絞られていったのです。

 

⇂⇂⇂装丁家として取り上げていただいたこの本にも少し書かれてあります。

 

んでもって、今から10年程前でしょうか。

ご縁あって精神医学・精神分析・臨床心理学の出版社
お仕事の付き合いが始まりました。もちろん書店やアマゾンで入手できますが、
学会でも書籍を並べ、直に販売されるような位置づけの書籍です。
そういう場で読者から生の反応、声を聞き、それをまた編集業に生かされる。
という好循環が生まれているのではと想像いたします。

 

本の性質からもカバーは2または3色刷り、
そして表紙は文字を箔押しなど、
長く大切に読まれるような体裁。
(もちろん4C印刷もあります)

 

特殊印刷・加工もめちゃ面白い記事は⇀コチラ

 

当初、そのお話をお聞きした時、
「ああ、昔の経験が活かせるな。面白いお仕事だな」
自分のなかで運命的な出会いじゃ!などと
喜んでいた覚えがあります^ ^

 

おそらく、これまでに150冊位はデザインさせていただいたかと思います。
続けてると仕事量はいつの間にか蓄積されていきます。

 

その書籍の分野は精神・心理学術専門書。
ボクのような門外漢が理解できるような内容のものは
限られてくるのですがww編集様たちは本の位置付けや、
とっかかりとなるビジュアル・色などヒントを与えてくださります。

 

その言葉から、イメージを膨らませデザインしていくのですが、
例えば2色でも、

 

・2色の明快さを生かしたデザイン。
・2色でもそれを感じにくい深みのある表現。

 

前者は⇂⇂⇂このようなデザイン。

 

後者は⇂⇂⇂このようなデザインかなと思います。

 

2色でもかなり幅広くデザイン可能だと感じられるのではと思います。

写真を2色でうまく分解(ダブルトーン)でき、深みがでるケース。
色の組み合わせも関係してきますが、バーコード、定価を表4(裏表紙)に
刷るため、自ずと1色は黒か濃色になります。残り1色との兼ね合いで
デザインのクオリティも決まってきます。そのバランスが難しいのですが….^ ^

 

あとはグラデーションを効果的に使えると表現の幅が広がりますね。
これは昔培った(大げさな。笑)手法ではあります。
しかし、これもあまり使いすぎると….雰囲気が出すぎてしまう…。
というところで伝家の宝刀的な扱いです(笑

 

 

いろんな分野の本をデザインさせていただいてますが、
ここの出版社は、ボクのなかでまた独特の位置づけと申しますか…
分野も読み手も限定されたタイプの専門書でありますんで、
そのなかで、例えばフロイトなら、それを題材に扱った内容でも
それぞれの本がしっかりと差別化を図る事ができる
意匠を凝らさないといけません。

 

⇂⇂⇂同じフロイトを扱ってても、内容違いでこんだけデザインも変わる^ ^

 

そこが難しい….いや…よい意味でのハードルですね(笑
それを乗り越えながらも経験を積ませていただいてます。

 

貴重な体験です。そして今ではライフワークになりつつあるような
気も勝手に^ ^してます。(言い過ぎ。笑)

 

10年以上、そして学生時代と含めるともっとか….
2(3)色印刷という条件で萌えーーーっとなるような
体質になってしまったのかもしれません(*´∇`*)

 

そして最後に、
長いお付き合いの岩崎学術出版社の皆様に感謝を述べたいと思います。
これからも精進して参ります!