この本は、戦時下の人口移動政策である「疎開」の経験は、戦後の文学でどう描かれ、
その背景にはどのような人々の思いや記憶が潜んでいるのかを
明らかにする戦後史・文学史の研究書です。
以下、本の内容説明より引用
戦争の裏で、子どもたちを中心に人々は地方への疎開を余儀なくされた。
避難ではなく疎開と呼ばれた銃後の人口移動政策を、敗戦後の文学はどのように語り、
位置づけてきたのか。疎開に人々は何を思い、どう記憶してきたのか。
柳田国男、太宰治、石川達三、「内向の世代」のテクストや映画を糸口にして、
疎開にまつわる様々な資料も使いながら、1945年から戦災を経験した
子どもが大人になる70年代までの疎開の描かれ方をたどる。
その語りは一様ではなく、いつ疎開を経験したのかという世代の違いや、
地方/都市の相違が多様な語りを生み出している。
文学を通して疎開をみたとき、
そこに立ち現れるのは敗戦後に突然もたらされた平和な日常への戸惑いであり、
幼少期を戦禍のもとに過ごした葛藤である。
銃後の記憶を抱えて戦後を生きた人々の思いを照らし出す。
(ここまで)
装丁に関しては、
文学よりは歴史棚で展開したいとのことで、
歴史書のイメージでリクエストをいただきました。
ただ、ノスタルジックな印象や重々しい(重すぎる)印象は避けたく、
多少動きや遊びがあるようなデザインがあってもよい。
とのことでした。
書名や内容から連想しやすい装丁案(ストレート球)とともに、
若干の変化球も求められたのです。
そこで、ストレート寄りの変化球^ ^と魔球…じゃなくて通常変化球^ ^を
プレゼンいたしました。それで採用となったのがこのデザインです。
モノクロ写真をほんの少しセピア調に調整した画像に、
シアンをノセています。タイトル等は白抜き。
特に著者様がこの装丁案採用を推していただいたご様子で、
大変光栄に存じます。
↓李承俊先生、ツイートまで!本当に有り難うございます。
拙著の装丁を担当してくださった方のブログ。視覚的イメージを創出されるクリエイティブなお仕事、自分にはない才能と能力に感服。ありがとうございます!!
— 李承俊 (@leeseungjun7137) September 12, 2019
李承俊『疎開体験の戦後文化史――帰ラレマセン、勝ツマデハ』のカバー色校が届きました。疎開の様子を撮した写真は、毎日新聞社からお借りしました。青がうまく出ていて、写真もクリアです。https://t.co/sGFRcqFwoA pic.twitter.com/z41PtCOjfj
— 青弓社 (@seikyusha) September 10, 2019
四六判、上製
紙資材
カバー:ミセスB-FSC認証、表紙:NTラシャ、見返し:OKミューズコットン
9.26頃発売
装丁担当