青弓社様の人文書。
 

以下、本の内容紹介より引用、
 
「白樺」派に属し、明治期・大正期に活躍した小説家として名高い有島武郎。
その代表作『或る女』は1919年に刊行されたが、
その7年後にフランスで前編だけが翻訳され、
現在まで唯一のフランスでの有島の翻訳作品として読まれている。
なぜ、どのような経緯で有島の作品が遠いフランスの地で翻訳されたのか。

 

その謎を解き明かすために、2人の翻訳者の来歴を調べ、
翻訳されたテキストと原著を詳細に比較・検討して、
翻訳に至ったプロセスを描き出す。
そして、翻訳者と有島本人との関係性を探り、
そのバックグラウンドにあった
新渡戸稲造・芹沢光治良・鶴見祐輔・谷川徹三らとの
人的なネットワークや共同体の実態を掘り起こす。

 

有島たちの思想に世代間の関係性がどう影響していたのかも検証して、
小説家としてだけでなく、
日本の近代化の一翼を担った稀有な人物として有島武郎と
その系譜を再評価する野心的な試み。

 
ここまで。

 

この本は、
有島武郎の作品論・作家論というよりは、
有島の小説家以外の側面や思想、人間関係を時代と
クロスさせて考察する評論です。

 

全体の3分の1がフランスでの翻訳について。
で、残りが有島や彼をめぐる人間関係や思想の継承され方が綴られています。
売りは「有島武郎とフランス」にあります。

 

内容が有島作品の海外への広がり、
作家をめぐる人の広がりを扱っているので、
フランス、そして「旅」のようなイメージ。
プラス時代(時の流れ)を感じさせる雰囲気を意識してます。
(古い写真、絵はがき風)

 

余談ですが、深緑という色は昔から好きで、
タイトル色に使用した場合、
見返し紙も深緑で合わせるというのが
どうも癖のようです。

 

3.25頃発売予定
装丁担当