人文書の装丁仕事です。A5判の上製。
近年では希少になった感がある大きめサイズのハードカバー。
嬉しくデザインさせていただきました。
何より、実はこのような(ザ・)人文書装丁は
観るのもデザインするのも好きなのです^ ^
以下、本の内容紹介より引用、
絵画を見ること/知覚すること――。
現象学の発展に寄与したフランスの哲学者モーリス・メルロ=ポンティは
美学・芸術論も残しているが、「見ること」や芸術を通じて何を思索し、
それは彼の哲学でどのような意味をもつのか。
メルロ=ポンティの美術論・芸術論を導きの糸に、
「奥行き」や「同時性」という概念に着目して
『行動の構造』『知覚の現象学』『見えるものと見えないもの』
などのテクストを緻密に読み解き、
2つの概念の絡み合いを彼の思想に位置づけ直す。
哲学に限らず美学や芸術の領域にも越境し、
のちにジョルジュ・ディディ=ユベルマンの美術論にも影響を与えた
メルロ=ポンティの美学の深奥とポテンシャルを指し示す。
ここまで。
恥ずかしながら不勉強で、メルロ=ポンティという人物を知らなかったのですが….
このように「仕事の出会い」により新たな知識を蓄える事があり、
普通に^ ^生きていたら知らなかった事が身になる。
これは装丁仕事の醍醐味の一つでもあると日々思うのであります。
アリガタヤ!
装丁は、内容や編集様からのお言葉をヒントにビジュアル素材を探し配置。
それを中心にタイトルなどの文字を合わせていった感が強いデザインです。
タイトルの明朝体は「秀英3号」。このフォントは写植時代から好きな書体。
独特の美しさがあります。特に「の」の字が好きです^ ^
他の文字もオールド明朝など(ザ・)人文書にふさわしいと感じてる書体で
構成しております。
↓表紙はラシャ紙のグレー90(色)に銀特色で文字のみ。見返しは鉄(色)。
濃い色になればなるほどコスト高なのです^ ^感謝。
著者様は現在、東京藝術大学美術学部芸術学科准教授(専攻は美学)でいらっしゃいます。
緊張しながらデザインいたしました^ ^が、装丁そして見返しの色まで
とても好みだというお言葉を頂戴し大変嬉しく思います。
10.29頃発売予定
装丁担当